国の情報公開陽子において、大量複写を想定して手数料の減免を打ち出していることは、今後、地方公共団体における条例も何らかの対応、修正を迫られ、文書量によって、開示の範囲を限定することは不可能になろう。ここにおいても、情報公開に対応した、情報技術の活用が必須になる事情がある。
?B 閲覧から提供へ
情報公開の要綱においても、情報の公開が閲覧という考え方で実施されることとなっている。「閲覧」という手続は、原本または、閲覧用の文書を見ることであり、請求者は必要に応じ複写したものを入手するということであり、紙による文書の公開が前提とされている。しかしながら、行政機関が保有する情報資源は国全体にとっての財産であるという考え方に立てば、情報公開の制度が運用され、行政機関の情報が広く開示されるとともに、情報を民間、国民に「提供」するという次の段階へ進むことが考慮べきである。
ここでいう「提供」は、民間等が行政機関が保有している情報を電子媒体で入手し、それを自らの必要性に応じて活用することであり、さらに、行政機関から入手した複数の情報を編集・加工して第三者へ提供することを認めることまでを指す。特に、第三者提供をビジネスとして認めるという方策は、今後、行政機関が保有する情報資源の国家的財産として有効利用することを促進することになる。この公的機関の情報資源の外部への提供と有効利用の推進に関しては次節で詳述する。
?C 情報開示のネットワーク活用
行政情報の開示請求は、今の要綱では、請求者が各省庁の庁舎に直接赴き、所定の手続を行うことが想定されている。行政機関の組織編成と行政運営の実態から、多くの行政情報が本省庁部局に集中しているのが実情である。このことは、国民、民間企業が各省庁に対して情報公開を求める場合、本省庁を訪問することが必要であることを意味する。公的機関の情報の閲覧や入手が地方にとって不利であるということは避けるべきである。
まさにネットワーク社会とは、距離の格差が情報へのアクセスの差にならないようにすることができる社会である筈である。
開示の請求手続だけではなく、閲覧自体も遠隔地からできるようにすることはネットワークの普及を考慮すれば、技術的には何ら問題ないと考えられる。例えば、開示請求をネットワークで受けつけ、その開示決定が出た時点で、予め指定されていた先
前ページ 目次へ 次ページ